犬の前十字靭帯断裂とは?
前十字靭帯とは膝の関節の安定をつかさどる重要な靱帯のことを言います。前十字靭帯断裂とは何らかの原因により、前十字靭帯が全体的に、または部分的に断裂する事を言います。体重10kg以上の大型犬の場合、前十字靭帯断裂と診断がつかない部分断裂が多いそうです。
犬が前十字靭帯断裂になる原因
前十字靭帯断裂発症の原因は成長期のワンコと老齢のワンコとで異なります。成長期のワンコの場合は過度の運動をつづけた結果、靱帯に負荷がかかり断裂するケースがほとんど。老齢のワンコの場合は加齢により劣化した靱帯に急激な負荷がかかり発症する事がほとんどです。また成長期、老齢いずれのワンコの場合も肥満による靱帯への負担も間接的に断裂の要因となります。
犬の前十字靭帯断裂、症状
前十字靭帯断裂の症状としてはある程度重い断裂の場合は脚を浮かせる、引きずるなどの歩き方をします。お座りをさせると痛みで普段通り座れませんので、区別しやすいようです。ただし、軽い部分断裂の場合は痛みが無く、歩様に異常も見られない場合があります。大型犬の中には痛みを外に出さない潜在的な前十字靭帯の部分断裂を発症しているケースも多いようなので日頃の様子には注意が必要です。また、前十字靭帯断裂に気付かずに放置していると、関節炎につながることもあるので注意しましょう。
犬の前十字靭帯断裂、治療について
体重10kg以下のワンコの場合は3~6週間で自然治癒してしまう場合も多いそうですが、10kg以上のワンコは体重が負担となり、なかなか自然治癒とはいきません。よって断裂の程度によって温存療法か手術かが決まります。手術の場合、現在では人工の靱帯を関節の外に取り付ける手術が主流になっていますが、骨の一部を削り、特殊なインプラントを埋め込むTPLOという最新の手術法もあります。しかし、日本では超大型犬を飼っている絶対数が少ないため、TPLO手術に慣れている獣医さんが少なく、大学病院などを紹介されるケースがあるようです。いずれの場合もワンコにとってどの方法が良いか、料金的な面も含めて獣医さんに相談しメリット・デメリットを確認した上で決定すると良いでしょう。
犬の前十字靭帯断裂、リハビリについて
手術の場合はおおまかにいって、包帯が取れるまでの3週間ほどは安静+ごく短時間の散歩のみ。その後、3か月程度はリードをつけてゆっくり散歩。そこからは通常の生活ということになります。ただし、靱帯を断裂した場合、半数弱のワンコがもう片方の靱帯を切ってしまうというデータもあるので、運動には十分に注意しましょう。予防策としては床が滑らないようにマットを敷く、肥満にならないよう栄養管理をするなどが挙げられます。
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この記事はワンコの前十字靭帯断裂について原因や症状、治療法などをまとめたものです。しかし、記事で触れているのはあくまで一般的な内容であり、実際の症状などはワンコ個々による差異が当然出てきます。もし、ワンコの体調に異変や普段との違いが感じられたら、お近くの獣医さんに相談してみることをおススメします。